「559180」の謎を解け!Excelで和音を徹底分析

「559180」の謎を解け!Excelで和音を徹底分析 Excel

山本式和音番号の「暗号」を解読せよ!和音の役割を数字で表す仕組み

前回の記事では、「山本式和音番号」という、全く新しい和音表記システムの壮大なプロジェクトの幕開けを宣言しました。

コードネームが持つ「役割がわからない」という限界を超え、
作曲や分析の強力な武器となること。

そして特殊なフォントを必要としない普遍的な設計思想についてお話ししましたね。

また、キーを「調号数」で表現する方法や、C durにおけるⅠ度からⅥ度までの基本的な和音の骨格も学びました。

「559180」という数字の羅列が意味するものとは?

さて、今回はこの山本式和音番号が持つ、「暗号」のような側面に迫っていきます。

例えば、「559180」という数字の羅列。

これが一体、どんな和音の役割を示しているのでしょうか?

なぜこの数字の並びで、特定の複雑な和音をただ一つに特定できるのでしょうか?

この記事では、和音番号の「各桁」が持つ意味を徹底的に解説し、
来るべきExcelでの実装に向けた、システムの「設計図」を読み解くことを目的とします。

これは、音楽の深い理解とExcelの論理的な思考が融合する、非常に面白い「頭脳パズル」です。

さあ、一緒にこの暗号を解き明かしていきましょう。

STEP1:和音番号は「一文字ずつ」解読する!桁が持つ意味のルールを知ろう!

まず、山本式和音番号を読み解く上での、最も基本的かつ重要な大原則から説明します。

この原則を理解することが、全ての解読のスタートラインです。

数字は「文字列」!ポジションが意味を持つ和音の設計図

山本式和音番号の基本

はじめに、山本式和音番号は、559180 のように数字記号羅列で表現されます。

しかし、これらは「55万9180」という「数値」としてではなく、あくまで「文字列」として一文字ずつ意味を持つ、ということを覚えておいてください。

つまり、各桁の数字(またはアルファベット)が、それぞれ和音を構成する異なる要素、

例えば「度数」「和音の種類」「転回形」などを指し示す、
和音の「設計図」のようになっているのです。

そして、この設計図は、原則として左から右へと順に、和音の主要な情報から詳細な情報へと読み進めることで、その全体像が明らかになります。

和音番号の構成要素の概要

和音番号は、主に以下の要素の組み合わせで成り立っています。

主要度数( 1、2、3、4、5、6): 和音の「骨格」となる部分です。

和音の種類とテンション(7、9): 和音の「色彩」を決定します。

転回形( 1,2,3): 和音の「姿勢」や響きのバランスを決めます。

特殊機能フラグ根音省略:8 借用和音:0): 和音に特別な表情を与える「隠し味」です。

また、今後の記事で詳しく解説しますが、n (ナポリの2の和音) や g (ドイツの増6) のように、
特定の機能和音をたった一文字で直接表す記号も存在します。

559180の説明
559180の楽譜

以下、特に断りがなければC durの和音です。

STEP2:和音の「骨格」!主要度数と「VのV」「セカンダリードミナント」を解読する!

それでは、設計図の解読を始めましょう。

まずは和音の最も重要な骨格、つまり「どの度数の和音か?」を特定する部分です。

和音の「出発点」と「ターゲット」を特定する

1桁目の「度数」が示すもの

和音番号の1桁目は、その和音が属する主要な度数(I, II, III, IV, V, VI)を表します。

これは非常にシンプルで、例えば 1 であればI度の和音5 であればV度の和音、というように直接的に対応します。

これが、和音の機能(トニックドミナントなど)を特定する上での、全ての「出発点」となります。

2桁目の「度数」で「VのV」を見抜け!

ここからが、山本式和音番号の面白さの入り口です。

もし、1桁目と2桁目が同じ数字 5 で連続する場合、つまり 55 となっていたら、それは「VのV(ドッペルドミナント)」という、非常に強力な機能和音を示す特別なサインです。

VのV」とは、文字通り「V度の和音に対する、V度の和音」という意味です。

例えば、C durにおけるV度Gですね。

そのGの和音に向かうためのドミナント、つまりG durV度であるDの和音が、
C durにおける「VのV」となります。

和音番号 55 は、この「VのV」という特別な役割を示し、その根音が(C durの場合)Dであることを導き出す元となるのです。

5 55の楽譜

さらなる応用!「セカンダリードミナント」の度数表記

VのV」以外にも、音楽にはある調の各度数(II, III, IV, V, VI)に対して、一時的にドミナント機能(解決したいという強い指向性)を付与する「セカンダリードミナント」というテクニックがあります。

例えば、C durII度(Dm)に対するV度、つまりAmの和音(V/II)などがそれに当たります。

山本式和音番号では、これも「度数表記の応用」として、非常に簡潔に表現します。

例えば 25 は「II度のV(V/II)」、35 は「III度のV(V/III)」のように、
ターゲットとなる度数(この場合 23)の後に 5 が続く形式で表すのです。

これにより、和音番号の数字が持つ「度数」という概念の奥深さが、さらに広がります。

たった2桁の数字で、これほど複雑な和音の機能を示せるのです。

STEP3:「7」が示す7th、「9」が示す9th!

和音の骨格である度数が決まったら、次はその和音に色彩や響きの深みを与える「肉付け」の工程です。

和音番号の3桁目や4桁目あたりには、和音の「種類」や「テンション」を示す数字が登場します。

最も代表的なのが、以下の2つです。

  • 7: 7th(セブンス)和音であることを示します。
  • 9: 9th(ナインス)和音であることを示します。

これらが度数に加わることで、シンプルな三和音(C E G など)から、より複雑で豊かな響きを持つ四和音、五和音へと進化します。

例えば、5Gですが、57 となればG7に、59 となればG9に変化します。

5 57 59の楽譜

STEP4:和音の「姿勢」を決める!転回形のルールを読み解く!

和音の骨格と肉付けが決まりました。

最後の仕上げの一つは、その和音の「姿勢」、
つまりどの音が一番下に来るかを決める「転回形」です。

転回形を表す数字「1」「2」「3」

和音番号の末尾に来る数字が、その和音の転回形を表します。

  • 1: 第1転回形(和音の第3音が最低音)
  • 2: 第2転回形(和音の第5音が最低音)
  • 3: 第3転回形(和音の第7音が最低音)

例えば 57 属7和音(G7)の基本形ですが、571 属7和音の第1転回形となります。

この転回形は、最終的にコードネームの「オンコード」(例: G7/F)として表現され、
和音の響きの安定感や、ベースラインの流れを大きく左右する重要な要素です。

57 571 572 573の楽譜

STEP5:山本式和音番号の「最終兵器」!「省略形」と「借用和音」の深淵!

さて、いよいよこの暗号解読のクライマックスです。

和音に、より複雑でミステリアスな表情を与える「特殊機能フラグ」の秘密を解き明かします。

和音に複雑な表情を与える特殊機能

「8」が示す「根音省略」

和音番号の中に「8」という数字が現れた場合、
それは和音の根音(ルート)が省略されていることを意味します。

根音という、和音の土台となる最も重要な音をあえて省略することで、響きが軽やかになったり、他の和音への繋がりがスムーズになったりします。

これは、和音に絶妙なニュアンスを加える、まさに魔法の数字です。

「0」が示す「借用和音」と、その魔法

そして、最も重要で、最も強力なのが「0」という数字です。

和音番号の中に 0 が現れた場合、それはその和音が「借用和音」であることを示します。

借用和音とは、その調の基本的な和音(固有和音)ではないものの、強い結びつきを持ち、一時的に借りてこられた特殊な和音のことです。

そして、この 0 が持つ真の力は、単なるフラグではありません。

この 0 は、特定の構成音に作用し、和音の「質」そのものを魔法のように変化させるのです。

その魔法を、559180 の解読を通じて体験しましょう。

【559180 (C dur) の解読ステップ】

55: V/V(ドッペルドミナント)。基準となる和音は根音がD

55の楽譜

9: 9th和音。よって基準は D9。構成音は D Fis A C E。

559の楽譜

1: 第1転回形。最低音がFisになり、構成音は Fis D A C E。

8: 根音省略。根音であるDが省略され、構成音は Fis A C E。

0: 借用和音。ここで魔法が発動します。0 は9thの音である E に作用し、
半音下の Es (E♭) へと変化させます。

その結果、構成音は Fis A C Es となります。

最終的に残った構成音 Fis A C Es をコードネームで表記すると、F♯dim7 となります。

見事に、559180 という数字の羅列が、一つの複雑な和音にたどり着きました。

まとめ:Excelでの実装はもうすぐ

今回の記事では、山本式和音番号の各桁が持つ意味を徹底的に解読し、複雑な和音の構造を数字の羅列で表現する、その驚くべき仕組みを学びました。

特に、セカンダリードミナントの表記法や、借用和音による和音の質的変化といった、高度な設計思想にも触れることができました。

これで、Excelに和音の「役割」を理解させるための、詳細な「設計図」が完全に読み解けたことになります。

一見ランダムに見えた数字の並びが、実は極めて論理的なルールに基づいていることを、あなたも実感できたのではないでしょうか。

さあ、いよいよ次回の記事では、この「設計図」を現実のものとします。

今回学んだ全てのルールを、ExcelのINDEX関数やINDIRECT関数などを駆使して数式に落とし込み、
入力した山本式和音番号から、対応するコードネーム自動生成するシステムを構築します。

Excelが、ついに和音の「役割」を語りだす瞬間です。

ぜひお楽しみに。

Excelと音楽の旅は、まだ始まったばかりです!

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