かけ算九九表を爆速で!Excelの関数だけで作る最速テク4選

Excelで爆速!関数だけで九九表を作る最速テク4選 Excel

「そうだ、かけ算九九の表でも作ってみるか!」
そんな軽い気持ちで始められる、シンプルだけど意外とハマる暇つぶしです。

もちろん、1×1から順番に入力していくのもアリですが、
せっかくならExcelらしく、一気に仕上げてみましょう。

今回の記事では、使用するのはExcelの「関数」のみ!
かけ算九九の表(9×9)を爆速で作成する方法をいくつかご紹介します!

手入力は最小限で済ませられる方法もあります。

コピー&ペーストの手間も、かなり抑えられるかもしれません。
関数を使いこなして、爆速でかけ算九九表を作り上げてみましょう!

これができると、普段の作業にも応用できる関数の理解が深まります。

今回のミッション

現在の状態とゴール

  • 現在の状態: 何も入力されていない、まっさらなExcelシート。
  • 目指すゴール: そのシート上に関数だけを使い、下図のような9行9列のかけ算九九の表を完成させる。
かけ算九九の表

ルール:関数以外使用禁止

VBA(マクロ)や、電卓での計算結果の手入力などは使用しません。

セルに入力する「数式(関数)」だけで、この九九表の作成を目指します。

(※方法によっては、数式入力の準備として最小限の数字入力やコピー&ペースト操作を含む場合があります…それはOK!

データの準備

準備するもの

  • 空白のExcelシート
    • 新しいブックを開くか、既存のブックに新しいシートを追加するだけで準備OKです!

方法1:基本!行番号と列番号を掛ける方法

考えかた

まずは、Excelの基本機能である「複合参照」を使って九九表を作る方法です。

見出し(1~9)と見出し(1~9)をあらかじめ入力します。
それぞれの値を掛け合わせる数式を1つだけ作ります。

その数式をコピーすることで、かけ算九九表を完成させます。

手順

準備:見出しの入力

まず、A1セルからA9セルまで、縦に1から9までの数字を入力します。
同様に、B1セルからI1セルまで、横に2から9までの数字を入力します。

縦横に1から9までの値を入力

数式入力

次に、九九表の左上のセル、つまり B2セル に以下の数式を入力します。

=$A2*B$1

数式=$A2*B$1

数式コピー

続いて、B2セルを選択し、フィルハンドル(セルの右下にある小さい■)を掴んで、
I9セル までドラッグして数式をコピーします。

B2からI9までを一度にドラッグしてコピーすることはできません
Excelでは、横方向と縦方向を同時にまとめてコピーする操作が制限されているため、
横(B2〜I2)→縦(B2〜I9)の順に2段階でコピーする必要があります。

まず、横方向にコピー

 B2セルのフィルハンドルを掴んで、右方向にI列まで(B2→I2)ドラッグします。
これで数式が横にコピーされます。

フィルハンドル操作(横)
次に、縦方向にコピー

 今コピーした範囲(B2~I2)をそのまま選択し、再びフィルハンドルを掴んで、
下方向に9行目まで(B2~I9)ドラッグします。

フィルハンドル操作(縦)

この2段階で操作することで、B2セルの数式をB2からI9までコピーできます。

または、B2セルをコピーし、B2からI9までの範囲を選択して貼り付けます。

貼り付け操作

これだけで、A1:I9の範囲にかけ算九九の表が完成します。

完成図

解説

入力した数式 =$A2*B$1$A2B$1 がポイントです。
これは「複合参照」と呼ばれます。

$A2: $A)についているので、「A列に固定相対的に変化する」という意味です。
下にコピーすると $A3, $A4… と行番号が変わりますが、横にコピーしても $A2 のままです。

数式一覧

B$1: $1)についているので、「1行目に固定相対的に変化する」という意味です。
横にコピーすると C$1, D$1… と列番号が変わりますが、下にコピーしても B$1 のままです。

数式の説明

この仕組みにより、例えば E5 セルにコピーされた数式は自動的に =$A5*E$1 となります。
なので、「A5セルの値(5)」と「E1セルの値(5)」が掛け合わされ、
結果「25」が表示されるわけです。

数式の例

メリット&デメリット

  • メリット:
    • Excelの基本的な機能である「複合参照」の仕組みを理解するのに役立つ。
    • Excelのどのバージョンでも使える。
  • デメリット:
    • 関数のみ、というルールからは少し外れ、
      事前にA列と1行目に数字を手入力する必要がある。
    • 数式のコピー&ペーストの手間がかかる。

方法2:ROW関数とCOLUMN関数を使う方法

考えかた

次に紹介するのは、セルの「番号」と「番号」を直接取得できる関数、
ROW関数COLUMN関数 を使う方法です。 この方法なら、事前の数字入力は不要です!

手順

数式入力

九九表を作成したい範囲の左上のセル、例えば A1セル に以下の数式を入力します。 =ROW(A1)*COLUMN(A1)

数式=ROW(A1)*COLUMN(A1)

数式コピー

A1セルを選択し、フィルハンドルを掴んで、I9セル までドラッグして数式をコピーします。
※方法1と同様のやり方です。

まず、I列まで。

フィルハンドル 横の説明

次に、9行目まで。

フィルハンドル 縦の説明

または、A1セルをコピーし、A1からI9までの範囲を選択して貼り付けます。

コピー&ペーストの説明

完成!

完成図

A1:I9の範囲にかけ算九九の表が表示されます。

解説

  • ROW(A1): この関数は、指定されたセル(この場合はA1)の 行番号 を返します。
    A1セルの番号は「1」です。
    この数式を下にコピーすると、ROW(A2) となり「2」、ROW(A3) となり「3」… を返します。
  • COLUMN(A1): こちらは、指定されたセル(A1)の 列番号 を返します。
    A1セルの番号は「1」です。
    この数式を右にコピーすると、COLUMN(B1) となり「2」、COLUMN(C1) となり「3」… を返します。

つまり、コピーされた先の各セルで、
そのセルの行番号 * そのセルの列番号 が計算されます。
その結果、かけ算九九の表が出来上がるのです。

例えば、C3セルでは ROW(C3) (結果:3) と COLUMN(C3) (結果:3) が掛け合わされ、
9」が表示されます。

数式の説明

メリット&デメリット

  • メリット:
    • 事前の手入力が一切不要で、関数だけで完結する。
    • ROW関数、COLUMN関数も古くからあるため、
      ほとんどのExcelバージョンで利用可能。
  • デメリット:
    • 方法1と同様に、数式を9×9の範囲にコピーする手間がかかる。

方法3:SEQUENCE関数で一撃! (Excel 365 / 2021以降)

考えかた

最新のExcel(Microsoft 365 または Excel 2021)をお使いであれば、
この方法が最も簡単で爆速です。

新しい関数 SEQUENCE() と「スピル」という機能を使って、たった1つのセルに数式を入力するだけで、九九表全体を自動生成します。

手順

数式入力

九九表を表示させたい左上のセル、例えば A1セル に以下の数式を入力し、[Enter]を押すだけです!
=SEQUENCE(9)*SEQUENCE(1,9)

数式=SEQUENCE(9)*SEQUENCE(1,9)

( SEQUENCE(1,9) の部分は SEQUENCE(,9) と書いても同じ結果になります)

完成!

数式を入力したA1セルから、I9セルまでの範囲に、
自動的にかけ算九九の値が展開(スピル)されます。

コピー&ペーストは不要です!

解説

この動作は、SEQUENCE 関数と「スピル」というExcelの新しい仕組みによるものです。

  • SEQUENCE(9): この関数は、1から始まる連続した数値を「縦方向」に9個生成します。
  • SEQUENCE(1, 9): こちらは、1から始まる連続した数値を「横方向」に9個生成します。
  • スピル: この数式が返す 9×9 の配列の結果を、数式が入力されたセル(A1)を起点として、隣接する空のセル自動的に展開して表示します。これが「スピル」です。

メリット&デメリット

  • メリット:
    • 圧倒的に速い! 1つのセルに数式を入力するだけでかけ算九九表が完成する。
    • コピー&ペーストの手間が一切ない。
    • 数式の意味が比較的理解しやすい。(9個の連続数と9個の連続数を掛ける
  • デメリット:
    • Microsoft 365 または Excel 2021 以降のバージョンが必要。
    • 数式を入力したセル以外にも結果が自動的に展開される仕様に、
      違和感を覚える可能性がある。
      (スピル範囲に他のデータがあると #スピ! エラーになる)
スピルエラーの例

方法4:配列定数で直接指定する方法 (応用)

考えかた

SEQUENCE 関数が使えない古いバージョンのExcelでも、
数式内に直接数値のリスト(配列定数)を書き込むことで、配列計算を行うことができます。

Microsoft 365 / Excel 2021 以降ではスピル機能と組み合わせます。
それ以前のバージョンでは「配列数式」として入力することで実現します。

手順① (Microsoft 365 / Excel 2021 以降 の場合 – スピル利用)

数式入力

九九表を表示させたい左上のセル、例えば A1セル に以下の数式を入力し、[Enter]を押します。
={1;2;3;4;5;6;7;8;9}*{1,2,3,4,5,6,7,8,9}

数式={1;2;3;4;5;6;7;8;9}*{1,2,3,4,5,6,7,8,9}

方法3と同様に、A1:I9の範囲に九九表が自動的にスピルで展開されます。

完成図

手順② (Excel 2019 以前の場合 – 配列数式)

範囲選択

まず、九九表を作成したいセル範囲、つまり A1セルからI9セルまでを選択 します。

選択範囲の説明

数式入力

次に、A1:I9が選択された状態で、数式バーに以下の数式を入力します。
まだ[Enter]は押さないでください!

={1;2;3;4;5;6;7;8;9}*{1,2,3,4,5,6,7,8,9}

数式入力

確定 (重要!)

[Enter]の代わりに、[Ctrl][Shift] を押しながら [Enter] を押します。
([Ctrl] + [Shift] + [Enter])

完成図

完成!

選択していたA1:I9の範囲すべてに九九表が表示されます。

数式バーを見ると、入力した数式が { } (波括弧) で囲まれているはずです。

配列数式の画像

これが配列数式として入力された印です。

解説

  • {1;2;3;4;5;6;7;8;9}: これは「配列定数」と呼ばれるものです。
    方向の数値リストを直接数式内に書き込んでいます。セミコロン ; 縦の区切りです。
  • {1,2,3,4,5,6,7,8,9}: こちらは方向の数値リストを表す配列定数です。カンマ ,横の区切りです。
  • Excel 365/2021: 配列定数同士の掛け算によって生成された 9×9 の配列スピル機能で自動展開します。
  • Excel 2019以前: スピル機能がないため、「配列数式」という入力方法を使います。

メリット&デメリット

  • メリット:
    • SEQUENCE 関数が使えない環境でも、配列計算を実現できる。
    • 配列定数の書き方({} ; , の使い方)を学ぶことができる。
  • デメリット:
    • 配列定数を {1;2;...} のように手入力するのが少し面倒
    • Excel 2019以前のバージョンでは、配列数式の入力方法 ([Ctrl] + [Shift] + [Enter]) を知らないと正しく計算されない。
      また、配列数式は後から一部だけ修正することができない。

まとめ

この記事では、Excelの関数だけを使って「かけ算九九」の表を作成する、
4つの方法をご紹介しました。

  1. 複合参照 ($A2*B$1): 基本的な参照方法。事前入力が必要。
  2. ROW/COLUMN関数: セルの行番号・列番号を利用。事前入力不要。コピーが必要。
  3. SEQUENCE関数 (SEQUENCE()*SEQUENCE()): 最新Excelならこれ!入力一発で完成(爆速)。
  4. 配列定数 ({...}*{...}): SEQUENCE代替。旧Excelでは配列数式の知識が必要。

Excelのバージョンや、操作の慣れ具合によって最適な方法は異なります。
特に最新のExcelをお使いであれば SEQUENCE 関数を使う方法が圧倒的に効率的です。

今回のテクニックが、皆さんのExcel作業を少しでも楽にするヒントになれば幸いです!

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