Excelでデータを集計するとき、「特定の条件に合うものだけ合計したい!」って場面、ありますよね?
例えば、商品リストから「A商品だけの売上合計」を出したりすることがあります。
また、「〇〇部門で、かつ予算達成したプロジェクトの経費総額」を求めたりもします。
そんなとき、あなたの頭にパッと思い浮かぶ関数はなんですか?
SUMIF関数?それともSUMIFS関数?
はたまた、ちょっとマニアックにSUM関数とIF関数を組み合わせたヤツ?=SUM(IF())
「え、どれも似たようなものじゃないの?」
「とりあえずSUMIF使っとけば大丈夫でしょ?」
なーんて思っているそこのあなた!
実はこの3つのアプローチ、似ているようでいて、できること・できないことが異なります。
得意なこと・苦手なことが全然違うんです!
今回のExcel暇つぶし企画は、この「条件付き合計」界の三銃士を対象とします。
「SUM(IF())」「SUMIF」「SUMIFS」
これらを徹底的に比較しちゃいます!
この記事を読み終わるころには、きっとあなたも…
- それぞれの関数の特徴と限界がスッキリわかる!
- 「この条件なら、この関数を使うのがベストだね!」と自信を持って言えるようになる!
- 公式ヘルプだけじゃ分からない、現場感覚での“使い分け”のコツが掴める!
…はずです!(笑)
さあ、今回もExcelシートの準備はいいですか?
関数たちの個性豊かな世界へ!
3つの関数、目的は同じ? 「条件付き合計」といえばどれ?
まずは、今回登場する3つの主役たちを簡単にご紹介しましょう。
彼らはみんな「条件に合う数値を合計する」という目的は同じです。
しかし、そのアプローチや設計思想がちょっとずつ違うんです。
SUMIF関数とは?
単一の条件に特化して合計を求める、古参のシンプル関数です。
引数は3つ固定という特徴があります。
=SUMIF(範囲, 検索条件, 合計範囲)
設計思想のイメージは、「条件1つなら、オレに任せとけ!」な、
一本気タイプと言えるでしょう。

SUMIFS関数とは?
複数のAND条件に対応できる関数です!
SUMIF関数の後発で、より複雑なニーズに応えるために登場しました。
=SUMIFS(合計範囲, 条件範囲1, 条件1, [条件範囲2, 条件2], …)
設計思想のイメージは、「複数条件?どんと来いや!SUMIF兄さんの後継者だ!」な、実力派です。
![=SUMIFS(合計範囲, 条件範囲1, 条件1, [条件範囲2, 条件2], …)の説明](https://excel-himatsubushi.com/wp-content/uploads/2025/05/image-209.png)
SUM(IF())とは?
IF関数とSUM関数を組み合わせた配列数式のことです。
柔軟性が高く、条件の自由度もピカイチなのが特徴です!
例 =SUM(IF(条件範囲=条件, 合計範囲))
設計思想のイメージは、「ルールに縛られるのはゴメン!」な、トリックスターです。

「ふむふむ、なんとなくイメージは湧いたけど…?」
そうですよね、これだけじゃまだ「で、結局どれを使えばいいの?」って感じだと思います。
ご安心ください!
これから、それぞれの実力を様々な角度から深掘りしていきますよ!
【条件処理能力】「いくつ条件を指定できるの?」条件数の違い!
まず気になるのは、「いくつの条件まで扱えるの?」ってところですよね。
ここが最初の大きな分かれ道です!
各関数の条件指定数
- ✅ SUMIF関数 → 1つの条件のみ しか扱えません!シンプルイズベスト!
- ✅ SUMIFS関数 → 複数のAND条件 をバッチリ指定できます!最大127個までOK!
- ✅ SUM(IF()) → AND条件もOR条件も、なんなら複雑な条件式の組み合わせも自由自在!
そうなんです!
大きな違いは OR条件の扱いやすさ。
OR条件の扱いはどう違う?
例えば、「商品A または 商品B の売上合計」を求めたい場合を考えてみましょう。
SUM(IF()) なら、=SUM(IF((商品列=”A“)+(商品列=”B“), 売上列)) のように、OR条件をスマートに書けます。

[ + ] がORの役割を果たします。ちょっとしたテクニックですね!
一方、SUMIFS関数 は、実は直接OR条件を指定するのが苦手…。
なので、=SUMIFS(売上列, 商品列, “A“) + SUMIFS(売上列, 商品列, “B“) というように、
工夫が必要です。

SUMIFS関数を条件の数だけ足し算する 必要が出てきます。
条件が増えると、数式がどんどん長くなっちゃいますね。
- SUMIF:一本道!
- SUMIFS:複数の関所をすべて通過しないとゴールにたどり着けないイメージ(AND条件)。OR条件の場合は、別のルートをそれぞれ計算して最後に合流する感じ。
- SUM(IF()):道が複数に分岐したり合流したり、自由なルート設定ができるイメージ。
うーん、やっぱりSUM(IF())の自由度は魅力的ですね!
【条件の書き方】「どんな風に条件を書けるの?」条件式の自由度!
次に注目したいのは、「条件をどんな風に書けるの?」という点。
ここでも各関数の個性が光ります!
SUMIF関数とSUMIFS関数の条件指定
これらの関数では、条件は基本的に「文字列」として指定します。
例えば “>50” とか “A商品” といった具合です。

もしセルに入力された値を使って条件を指定したい場合は、“>=”&A1 のようにします。
比較演算子とセル参照を & (アンパサンド) でつなげる必要があります。

ちょっと面倒くさい時、ありますよね?
SUM(IF())の条件指定
ここがSUM(IF())の真骨頂!
なんと、条件式の中に、さらに数式や他の関数を直接書き込めちゃいます!
例えば、「全商品の平均売上よりも高い売上だけを合計したい!」なんて場合を考えてみましょう。
SUMIF関数 だと、まずどこかのセルでAVERAGE関数を使って平均値を計算しておきます。
そのセルを参照するか、
あるいは =SUMIF(売上範囲, “>=“&AVERAGE(売上範囲)) のようにします。

このAVERAGE関数を文字列として連結する必要があります。
条件式の中に他の関数を直接組み込むことも可能ではあるんです。
ただ、数式をよりシンプルに、そして分かりやすく保つために、
一度別のセルに平均値を計算しておくのが確実です。
一方、SUM(IF()) なら、お手の物!
=SUM(IF(売上範囲 >= AVERAGE(売上範囲), 売上範囲))

ほら!
条件式の中で AVERAGE(売上範囲) が直接計算されて、スッキリ書けちゃいました!
この “数式の中で、さらに数式が書ける” 感覚、一度味わうとクセになるかもしれませんよ?(笑)
条件自体が動的に変わるような、ちょっと凝った集計をしたいときには、これです。
SUM(IF())のこの自由度が光ります!
【柔軟性】「ちょっと変わった範囲でも大丈夫?」異形範囲・行列操作!
実務のデータって、いつもキレイに整理されているとは限らないですよね…。
「条件を指定する範囲と、合計したい範囲の形がちょっと違うんだけど…」なんてことも。
SUMIF関数、SUMIFS関数の場合
これらの関数は、
条件範囲と合計範囲が“同じサイズ・同じ形”であること が求められます。
例えば、条件範囲がA2:A10なら、合計範囲もB2:B10のようにします。

行数や列数が一致している必要があります。
SUM(IF())の場合
さすが柔軟性の鬼、SUM(IF())
配列計算がベースになっているおかげで、こういったことが可能です。
条件を指定する配列と、合計したい対象の配列の形が多少異なっていても、
数式側の工夫で対応できる 場合があります。

あまり複雑なことをしすぎると、
後で自分でも「これ、何やってるんだっけ…?」ってなる可能性も秘めています(笑)
しかし、「どうしてもこの形のデータで集計したいんだ!」という熱い想いがあるなら、
SUM(IF())が応えてくれるかもしれません。
【パフォーマンス】「データがめちゃくちゃ多いんだけど、重くならない?」大規模データでの処理速度!
さあ、ここまではSUM(IF())がかなり優勢に見えてきましたが、ちょっと待った!
どんなに高機能でも、動きがモッサリだったら困りますよね。
特に扱うデータが数万行、数十万行…なんて場合は、
処理速度も重要な選択基準です。
SUMIF関数の処理速度
これは軽いです!
単一条件に特化している分、Excel内部で最適化されているため、
比較的サクサク動いてくれます。

SUMIFS関数の処理速度
これも軽いです!
複数条件を扱えるにも関わらず、こちらも処理速度は安定しています。
頼りになりますね!

SUM(IF())の処理速度
これは配列処理なので、データ量が多いと重くなりがち…です。
(特に古いExcelや数万行を超えるデータの場合)
そうなんです、SUM(IF())の最大の弱点がこれかもしれません。

配列数式は、一つ一つのセルに対してIFの判定を行います。
その結果をメモリ上に展開してからSUMで合計する…という内部的な動きをします。
そのため、データ量が増えれば増えるほど、計算に時間がかかってしまう傾向があります。
「なんか最近Excelが重いんだよなぁ…」
「このファイル、開くのにやたら時間かかる…」
そんな時、もしかしたらシートのどこかでSUM(IF())のような配列数式が使われているかもしれません。
知らず知らずのうちに大量の計算資源をモグモグ食べている…なんていう “Excelあるある” 、
経験したことありませんか?(笑)
大量データを扱う場合は、SUMIF関数やSUMIFS関数で処理できないか、まず検討してみるのが賢明かもしれませんね。
【わかりやすさ・可読性】「他の人が見ても、何してるか分かるかな?」
自分で作った数式でも、しばらく経つと「これ、どういう意味だっけ…?」ってなること、ありますよね。(筆者だけじゃないはず!)
ましてや、他の人とファイルを共有するなら、数式の分かりやすさ(可読性)は超重要です!
SUMIF関数とSUMIFS関数の分かりやすさ
引数の順番や役割が比較的はっきりしています。
そのため、数式がシンプルで、後から見ても「ああ、この条件で合計してるのね」と理解しやすい 傾向があります。
特にSUMIF関数は、引数が3つだけなので直感的ですね。
=SUMIF(範囲, 検索条件, 合計範囲)
=SUMIFS(合計範囲, 条件範囲1, 条件1, [条件範囲2, 条件2], …)
SUM(IF())の分かりやすさ
条件が複雑になればなるほど、IF関数が何重にもなったり、
配列の操作が入ってきたりします。
そうなると、「えっと…このカッコはどこまでで、この条件は何を判定してるんだ…?」と、解読が難しくなりがち です。

コメントをしっかり残しておかないと、未来の自分や同僚を混乱の渦に突き落とす可能性も…(笑)
多少数式が長くなったとしても、SUMIF関数やSUMIFS関数を使った方が、結果的にみんなハッピーかもしれませんね!
例 =SUM(IF(条件範囲=条件, 合計範囲))
【どれを使う?】もう迷わない!使用シーン別おすすめ!
さてさて、ここまで3つの関数の個性を見てきましたが、こう思うかもしれません。
「じゃあ、結局いつどれを使えばいいの?」
という声が聞こえてきそうです。
お任せください!
そんなあなたのために、「選び方のポイント」をまとめました!
とにかくシンプルに!単一の条件でサクッと合計したい!
おすすめ関数はコレ!: SUMIF
決め手はコレだ!: 軽快動作!数式も分かりやすい!
複数の条件(AND条件)で絞り込んで合計したい!
おすすめ関数はコレ!: SUMIFS
決め手はコレだ!: 複数条件でも安定のパフォーマンス!
OR条件で合計したい!
おすすめ関数はコレ!: SUM(IF())
決め手はコレだ!: スマートに書ける!SUMIFSの足し算よりスッキリ!
条件に他の関数や数式の結果を使いたい!
おすすめ関数はコレ!: SUM(IF())
決め手はコレだ!: 条件式の自由度がピカイチ!
大量のデータを扱うから、処理速度が心配…
おすすめ関数はコレ!: SUMIF / SUMIFS
決め手はコレだ!: パフォーマンス重視なら、まずこの2つ!
条件範囲と合計範囲の形がちょっと違う…
おすすめ関数はコレ!: SUM(IF())
決め手はコレだ!: 柔軟性でカバー!ただし複雑になりすぎ注意!
誰が見ても分かりやすい数式にしたい!
おすすめ関数はコレ!: SUMIF / SUMIFS
決め手はコレだ!: 可読性・メンテナンス性重視なら!
どうでしょう?
これで、もう条件付き合計で迷うことは少なくなる…はず!
まるでRPGのジョブチェンジのように、
状況に応じて最適な関数を選んで使いこなしてみてくださいね!

【おまけ】3関数の限界を超える!? さらなる助っ人たち!
実は、今回ご紹介した3つの関数の他にも、「条件付き合計」を実現できる強力な関数たちがいます。
ちょっとだけ、その顔ぶれをご紹介!
FILTER関数 + SUM関数
Excel 2021 以降 / Microsoft 365 ならFILTER関数が超便利!
まず条件に合うデータを絞り込んで、その結果をSUM関数で合計する、という合わせ技。

非常に直感的で強力です!
SUMPRODUCT関数
名前に「SUM」と「PRODUCT(積)」が入っている通り、掛け算した結果を合計する関数です。
しかし、実は条件判定の達人でもあるんです。
SUM(IF())と似たような柔軟性を持ちつつ、配列数式にしなくても使える場合が多いのが魅力。
多くの場合、Ctrl+Shift+Enterによる配列数式としての確定が不要です
AGGREGATE関数
エラー値を無視したり、非表示の行を無視したりしながら集計できる、ちょっと変わった関数。
引数の指定が少し独特ですが、かゆいところに手が届く機能を持っています。
これらの関数は、特定の状況下ではSUMIF系やSUM(IF())よりも適している場合があります。
「お、こんな関数もあるのか!」と頭の片隅に置いておくと、
いつかあなたのExcelスキルをさらにパワーアップさせてくれるかもしれませんよ!
まとめ:正解は1つじゃない! 大事なのは“選ぶ力”!
さて、今回は「SUM(IF())」「SUMIF」「SUMIFS」というテーマでした。
Excelの条件付き合計を担う3つの主要なアプローチを、あれこれと比較しながら見てきました。
結局のところ、
「どの関数が一番優れている」という絶対的な正解はありません。
大事なのは、
といった、様々な状況や自分の「ものさし」を考慮することです。
そして、その場その場で最適な関数を“選ぶ力”を持つことなんです。
今回の記事が、皆さんの「関数を選ぶ力」を少しでも高めるお手伝いができていれば幸いです。
そして何より、Excelの奥深さや面白さを再発見する、
楽しい「暇つぶし」になっていれば、とっても嬉しいです!
さあ、これからもExcel関数の世界を一緒に探求していきましょう!
また次回の暇つぶしでお会いしましょうね!