はじめに:そのグラフ、円グラフの親戚ではありません
Excelのグラフの中に、「レーダーチャート」というものがあります。
ゲームのキャラクターのステータス画面(攻撃力、守備力、素早さ…みたいな五角形や六角形のやつ)でよく見る、アレです。
普段はデータのバランスを見るために使われますが、今回はこのレーダーチャートを「お絵かきツール」として使ってしまいます!
以下の記事では散布図を使用した図形を紹介しています!興味ある方はぜひ!
Excelグラフで図形を描こう!【コピペOK】
Excelグラフアート!ハートとダイヤの描き方
「極座標」ってなに?
私たちが普段、Excelの表や散布図で使っているのは、「横にX行って、縦にY上がる」という場所の決め方です。
これを「デカルト座標(直交座標)」と呼びます。


対して、今回使うのは「極座標(きょくざひょう)」です。


これは、「中心から角度 ![]()
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レーダーチャートは、まさにこの「中心からの距離」をプロットするグラフなので、これを利用して不思議な図形を描こう!というわけです。
本記事では、無料のWeb版Excelを使用して検証および画像の作成を行っています。Windowsはもちろん、MacやLinuxの方もブラウザさえあれば挑戦できます!
キャンバスの準備 – 「ラジアン」を知ろう
まずは準備です。まっさらなシートを用意してください。
Excelの三角関数(SINやCOS)は、角度を「度(°)」ではなく「ラジアン」という単位で扱います。
難しいことは考えなくてOK!「180° = ![]()
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A1セルに「RADIANS」と入力し、A2セルに以下の数式を入力してください。
=SEQUENCE(361,,0,PI()/180)
【解説】
・361: 0度から360度まで、ぐるっと一周分のデータを作ります。
・0: スタートは0度。
・PI()/180: これが「1度」分のラジアンです。1度ずつ増やしていきます。


これで、A列に0から約6.28(![]()
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7つの数式でアートを描こう!
さあ、ここからはB列(距離 ![]()
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B2セルに数式を入力するだけで、図形が変わりますよ!
数式1:基本の「花びら」 (SIN関数)
数式
=SIN(8*A2#)
グラフの作成手順(最初だけ詳しく!)
1. B2セルに数式を入力すると、スピルして数値が表示されます。


2. B列のデータ範囲を選択します。
3. 「挿入」タブ → 「その他のグラフ」 → 「レーダー」を選択します。


【重要:グラフをスッキリさせる】


デフォルトだとごちゃごちゃしているので、整形しましょう。
グラフを選択し、「グラフ」タブ→「書式設定」を開きます。


- 「グラフ タイトル」:なし
- 「凡例」:なし
- 「軸の表示(項目ラベル)」:なし


仕上げに、Shiftキーを押しながらグラフの角をドラッグして拡大縮小すると、縦横比が固定されてきれいな正方形になります。


解説
SIN関数は波の形を作ります。
それを円状に配置すると、波の山と谷が「花びら」のようなループになります。
「8」という数字を変えると、花びらの枚数が変わりますよ!


数式2:複雑な波紋 (SINの重ね合わせ)
数式
=SIN(A2#)+SIN(3*A2#)/3+SIN(5*A2#)/2
解説
大きさや細かさ(周波数)の違う波を3つ足し合わせました。
単調だった花びらが、より複雑で有機的な、本物の植物のような形になりましたね。


数式3:蝶々?それとも… (SIN + COS)
数式
=SIN(5*A2#)+COS(7*A2#)
解説
SIN(正弦)とCOS(余弦)を、異なるリズム(5と7)で組み合わせてみました。
規則的なのにどこか不安定な、蝶々が羽を広げたような、あるいは不思議な葉っぱのような形が現れます。


数式4:ギザギザ・モンスター (高周波)
数式
=COS(19*A2#)-SIN(6*A2#)
解説
「19」という大きな数字を掛けることで、波を細かくしています。
全体がギザギザになり、ウニや攻撃的な星のような図形になります。


数式5:デジタルな結晶 (CEILING関数)
数式
=CEILING.MATH(SIN(3*A2#),0.5)
解説
数値を「0.5単位」で切り上げています。
その結果、距離 ![]()
![]()
滑らかな曲線がなくなり、カクカクとしたデジタルな結晶のような幾何学模様になります。


数式6:鋭い刃 (MOD関数)
数式
=MOD(A2#,0.7)*1
解説
MOD関数で割り算の余りを出すと、「0から増えていって、0.7になったらストンと0に戻る」というノコギリ波ができます。
これを極座標で描くと、中心から外へ向かって急激に戻る、鋭い刃(ファン)のような形になります。


「0.7」の値を小さくすると、刃の枚数が増えますよ!


数式7:12等分のケーキ (IF関数)
数式
=IF(MOD(A2#,PI()/6)<(1/4),1,0)
解説
これは「距離が 1 か 0 か」しかない世界です。
角度によって、ある期間は「1(外周)」、ある期間は「0(中心)」と切り替えることで、細いケーキのピースが並んだような、あるいは機械のギアのような図形が描けます。


まとめ:数式は、最高のおもちゃだ。
Excelのグラフは、売上や推移を表示するためだけの道具ではありません。
数式の「係数(掛け算する数字)」を「3」から「4」に変えるだけで、花びらの枚数が増えたり、全く違う形に変貌したりします。
ぜひ、今回紹介した数式の数字を適当にいじってみてください。
「うわっ、なんだこれ!?」という奇妙な図形が生まれたとき、あなたはもうExcelの虜になっているはずです。
これからも、Excelで「(実務では)役に立たないけど面白いこと」を追求していきましょう!



